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はるか昔、六世紀半ば。紙は仏教と共に海を越え、日本に伝えられました。
それまで文字を書くために使われていた、絹布や木簡ではとうてい間に合わないほど多くの知識や経典が、紙に書かれて日本に渡ってきたのです。
聖徳太子の頃、国産紙の製造に力が入れられ、紙鋤きの技術はめざましく発達しました。大宝二年(702)、古事記が完成する十年も前に作られた和紙が、今も正倉院で眠っています。
時は流れ、室町時代に入ると、紙は文字を書くためだけではなく、包みとしても使われるようになりました。当時、公家社会では貴人に贈り物をする場合、絹などの布で物を包み、組ひもをかけていました。それに対し、武家社会では、その頃生産され始めた純白の和紙で、中の物を象徴するような形に折り包む、「折形(おりがた)」を新たに考案し、使い始めたのです。
公家社会を布文化とするならば、武家社会は紙文化といったところでしょうか。純白の和紙で、折目正しく贈り物を包む・・・。これには、贈り主の身のけがれを相手方に移さないように、という深い思いやりと、相手を尊敬する礼の心が込められています。
数ある折形の中で、皆さんに一番身近なものと言えば、結納に使われている折と、祝儀・不祝儀の金包みでしょうか。この二つは、日常生活と深く関わっているためか、地域によって使われる色や形がずいぶん違います。
結納品などは、華やかな公家の流れを引く関西では、派手好み。質素を美徳とした武家社会に馴染んだ関東では、地味なものが好まれます。ところが、結婚祝いの包みとなると、好みが逆になるのです。
ところで、皆さんは、祝儀・不祝儀の包みの裏、上側と下側から出ているミミの部分の重ね方が、それぞれ違うのにお気づきでしたか。祝儀の包みは、『天の恵みを少しでも多く受けとめる』ために、下側のミミを上にして重ね、不祝儀は『悲しみと涙を大地に流す』ため、下側のミミを下にします。
人間関係を円滑にするために生まれた折形を、皆さんも日常生活に利用してみてはいかがでしょうか。


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