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2025.05.22 カルチャー

日日是ココロユルビ

第4回 誰も気にしていないけれど

小林聡美さんのエッセイを毎月1回お届けしています。

 髪の分け目をどうするか。おそらく自分以外の人はそれを誰も気にしていない。それはわかっているが、時々鏡の前で、右、左、7:3、2:8、センターパート、いろいろ試して、結局いつもの曖昧な分け目に落ち着いてしまう。
 とはいえ、ショートカットはショートカットなりに、その日の髪の乾かし方(水分の飛ばし方)で毛のはね方やうねりが微妙に変わってきて、その決まらない感じが嫌いではない。季節ごとの湿度によって髪質が変わるのも面白い。もちろんそんなことは自分以外誰も気にしていない。
 私はかなり、髪に対して放任しているほうだと思う。ショートカットなので美容院にはだいたい月にいっぺんくらいは行くけれど、シャンプーとカットで五千五百円。滞在時間は長くて一時間。それでも私にはかなりたっぷりした時間だ。大体にして鏡の前にじっと座っているのが苦手なのだ。たまに作品の役柄でパーマをかけることもあるが、ロットを巻いたり、液をかけたり流したり、ドーナツ型の電熱を浴びたり、それら気の遠くなるような作業の手数と時間は、ひたすら忍耐の時間である。それでも、仕上がった新しい髪型の自分はちょっと新鮮で、合わせ鏡で後頭部の仕上がりなどをチェックするひと時は照れ臭くも、ワクワクする。
 ヘアカラーなども、印象が変わって素敵だなとは思うのだが、美容院でお願いするとなると、またとてつもなく時間がかかりそうだ。まだ髪質がピチピチしていたころは、自分で市販のヘアカラーで遊んだこともあった。しかし、今は、いたずらに髪を刺激して、健康な髪の復元に時間と労力を要するのではないかと思うと、安定志向というか、面倒くさいというか(私のいちばん禁忌とする言葉です!)、自然のままにしておこう、と放任している。
 金色とかピンクとか青とか。毛先だけ緑なんていう人もいる。自分のことは「誰も気にしていない」とか言いながら、髪の色の鮮やかな人には断然目がいく。そんな人たちにはきっと、自分の気持ちが上がるのはもちろん、人にも見せたい、という気持ちもあるはず。そういう、人に開いている美意識は、覚悟があってカッコいい。自分の「誰も気にしていない」などという、いじけた根性を少々反省したりする。
 一度くらい、笑っちゃうくらい鮮やかな髪に染めてみるのも面白いかも、などと、白髪まじりの自分の短い髪をつまみながら思うのだった。

小林聡美さん

小林聡美

1965年東京生まれ。1982年に「転校生」でスクリーンデビュー。主な出演作にドラマ「団地のふたり」「ペンションメッツァ」「すいか」、映画「かもめ食堂」「紙の月」「ツユクサ」、舞台「24番地の桜の園」「阿修羅のごとく」。主な著書に『茶柱の立つところ』『わたしの、本のある日々』『聡乃学習』。

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