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2025.09.19 カルチャー

日日是ココロユルビ

第7回 韓国ドラマ

小林聡美さんのエッセイを毎月1回お届けしています。

 世の流れに大幅に遅れ、去年の夏頃にようやく動画配信サービスで海外ドラマをぼちぼち観るようになると、まわりのおすすめは断然韓国ドラマだ。
 韓国ドラマというと、私の中ではどうしても大ブームとなった「冬のソナタ」が脳裏をよぎる。このドラマは観ていないけれど、ヨンさまの柔らかな微笑みとあの時のマダムたちの熱狂ぶりは、ある一定の世代の記憶に深く刻まれている。そういう現象にわりと冷静だった私は、昨今の韓国ドラマブームにもなんとなく距離があった。だがここ近年、聞いたことのない韓国の俳優たちの名前が、友人知人たちとの会話に頻繁に上るようになって、友人知人たちはなぜこんなにも韓国ドラマに夢中なのか俄然気になり、私もいよいよその扉を開けてみたのだった。
 一話が約一二〇分で、全二十話なんていうものもざらで、あらゆるドラマが大河ドラマ以上のボリューム感。観続けられるのか初めは自信がなかったが、いざ観始めてみると、ほどなくその魅力にはまった。出演者それぞれにドラマのある群像モノ、年配の俳優たちが活躍するモノ、舞台が自然豊かな地方モノ、物語の設定が少し前の時代のモノ。友人知人が薦めてくれたドラマは、まさに私の好みのものばかりだ。
 なぜ皆が夢中になるのか。それはストーリーやセットやロケーションが素晴らしいのはもちろんだが、俳優たちの魅力も大きい要素ではないだろうか。俳優演じるキャラクター達にはそれぞれ、濃厚な人の匂いがある。匂いがまるで迷惑なものであるように、無臭や消臭などと言って、生きものから立ち上る匂いにまで過敏になってしまった私たちの、心のどこかで欲していた匂いが、韓国ドラマにはある気がする。それは、子供の頃に夢中になってテレビドラマを観ていた私が感じていた感覚だ。小さなブラウン管のテレビドラマの中で演じている俳優たちにも、そんな匂いがあった。
 にしてもだ。一日に一二〇分時間を作るのは、かなり難しい。なので、一日だいたい二〇分ずつ区切って見ることにしたのだが、そうすると一話観終わるのに、一週間、二十話観終わるのに五か月かかることになる。そんなにゆっくりペースでは一年に二作品しか観られないではないか。ということで、少しずつ、三、四作品を並行して観ている現状なのだが、こうして、暮らしの中の韓国ドラマの時間が、どんどん増殖していくのだった。みなさんは、どうやって時間を捻出しているのでしょうか。謎!

小林聡美さん

小林聡美

1965年東京生まれ。1982年に「転校生」でスクリーンデビュー。主な出演作にドラマ「団地のふたり」「ペンションメッツァ」「すいか」、映画「かもめ食堂」「紙の月」「ツユクサ」、舞台「24番地の桜の園」「阿修羅のごとく」。主な著書に『茶柱の立つところ』『わたしの、本のある日々』『聡乃学習』。

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